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普通の枠からはみ出した私たちの居場所
〜ミニコミ(同人誌)を何十年も作り続ける理由〜
新刊「私たち、まだ1回も人生を生き切っていないのに」に収録されている「芸は身を助く」に登場したミニコミ誌「車掌」の編集長、塔島ひろみさんをお招きしてお話しします。
私がミニコミに出会ったのは今から約20年前の短大生の時でした。新宿の「模索舎」や中野の「タコシェ」には実に個性的な本が並んでいました。「野宿野郎」「奇人研究」「フリースタイルなお別れ雑誌『葬』」など、タイトルだけで不安感を誘発するものが多く、短大にも馴染めず、バイト先のコンビニでは泣きながらレジを打つなどしていた私は、それらのミニコミに少なからず親近感を覚えていました。
短大卒業後、編集プロダクションに勤めたものの、自殺未遂をして精神病院に入院し、実家で引きこもりをしていた私もとうとう「精神病新聞」というミニコミを出しました。普通の人生からドロップアウトしてしまい、無職でなんの取り柄もない私でしたが、比較的早く雑誌や新聞などに取り上げてもらい、ようやく自分が認められた気持ちがしました。
ミニコミの知り合いが増え、そこで出会ったのが「車掌」でした。「車掌」というタイトルですが、電車や車掌さんとは一切関係なく、テーマも「画鋲」や「げっぷ」など、正直意味のわからないものが多く、人気企画の「尾行」については、今では完全にアウトな内容で、ストーカーという言葉が出る前だったから許されていた企画だったと実感しています。1987年に創刊し、いまだにミニコミを作り続けている偉人の塔島さんをお呼びしてトークイベントを開催します。ちなみに塔島さんは「不自由特集」を作っているときに難病になり、不自由になった経験を持っているので、病気についても語れたらと思います。